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働きながら介護福祉士を目指す人の多くが通るのが、「実務経験3年以上+実務者研修」のルートです。介護のみらいラボの記事によると、国家試験の受験者の80%以上がこの実務経験ルートで受験しています。X(旧Twitter)でも、働きながら目指すなら実務経験3年以上・540日以上と実務者研修のルートが一般的だと紹介する投稿が見られました。
ただ、「3年」といっても、単に入職から3年たてばよいわけではありません。この記事では、試験を実施する社会福祉振興・試験センターの受験資格ページとよくある質問、実務経験の範囲、厚生労働省の介護福祉士の概要をもとに、日数の数え方と証明書の準備で迷いやすい点を整理しました。内容は第39回(令和8年度)試験の案内にもとづいています。
実務経験3年は「従業期間」と「従事日数」の2本立て
試験センターの案内では、受験資格となる実務経験は、実際に働いた期間と日数の両方で決まります。入職日から数えた在籍期間だけでも、出勤した日数だけでも足りません。まずは2つの言葉の違いを押さえておきましょう。
従業期間1,095日以上と従事日数540日以上を両方満たす
試験センターのよくある質問によると、試験実施年度の3月31日までに、対象の施設(事業)と職種での「従業期間」が3年以上(1,095日以上)、かつ「従事日数」が540日以上必要です。従事日数は540日を満たしているが従業期間が3年に届かない、という質問には、両方を満たす必要があるとはっきり答えていました。短期間に集中して出勤しても、在籍が3年に満たなければ受験資格にはなりません。
従業期間は、対象の施設と職種に在職した期間のことで、「産休、育休、病休」などの休職期間も含まれるとされています。一方の従事日数は、雇用契約にもとづいて実際に介護等の業務に従事した日数で、休暇、欠勤、出張、研修などで介護の業務をしなかった日は除きます。休職中も在籍期間としては数えられますが、出勤日数には入らないという違いです。育休明けに受験を考えている人は、2つの数字を分けて確認しておく必要があります。
ここでいう「介護等の業務」の意味も、試験センターの受験資格ページに書かれていました。身体上または精神上の障害があって日常生活に支障がある人に、心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含む)を行い、その人や介護をする家族などに介護に関する指導を行うことを指し、その範囲は厚生労働省が定めています。日数を数えるのは、この業務をした日だけです。
期限の「試験実施年度の3月31日」は、第39回試験なら令和9年3月31日にあたります。厚生労働省が官報で公告した第39回試験の概要でも、受験資格は「介護等の業務に3年以上従事した者(令和9年3月31日までに3年以上従事する見込みの者を含む。)」で、実務者研修を修了した人(同じ日までに修了する見込みの人を含む)と書かれていました。なお、よくある質問によると、特例高校等を卒業した人の場合は、従業期間9か月以上(273日以上)と従事日数135日以上が必要で、3年ルートとは日数の基準が違います。
日数とあわせて必要なのが実務者研修の修了です。試験センターのよくある質問によると、厚生労働省は平成19年に社会福祉士及び介護福祉士法を改正して実務者研修の修了を義務づけ、当初は平成24年度(第25回)から適用する予定でした。その後、平成23年に3年、平成28年に1年延期され、平成28年度(第29回)試験から必須になったという経緯です。実務経験3年だけで受験できたのは過去の話なので、昔の情報には注意しましょう。
1日の勤務時間は問わず、夜勤の数え方は職場の規程しだい
従事日数について、試験センターは1日の勤務時間を問わないと明記しています。介護のみらいラボの記事も、短時間勤務でも1日として数えられると説明していました。午前中だけのパート勤務でも、介護の業務をしていれば1日分になるということです。この点は、フルタイムでない人にとって大きな安心材料でしょう。
よく聞かれる夜勤の扱いについて、試験センターのよくある質問は、夜間勤務を1日と数えるか2日と数えるかは、事業所の雇用・就業規程にもとづいて計算してよいと回答しています。日をまたぐ夜勤が多い人は、自分の職場ではどう数えているのかを、証明書を作る事務の担当者に確かめておくと安心です。試験センターのサイトには、日付を入れると従業期間を計算できる従業期間計算表も用意されていました。
実務者研修の期間も逆算に入れておきたいところです。よくある質問では、実務者研修の研修期間は原則6か月以上とされ、介護職員初任者研修や訪問介護員養成研修(ホームヘルパー研修)をすでに修了している人は、6か月より早く修了できる場合があると説明していました。実務経験と研修を修了する順番は問われていないので、働きながら並行して進める計画も立てられます。
540日という数字を週あたりに直してみると、目安がつかみやすくなります。3年間で540日なら1年に180日で、52週で割ると週3.5日ほどです。週3日の勤務だけでは届かない計算になるので、週4日の週を混ぜるなどして、3年間の合計で540日を超えるように勤務を組むことになります。
まだ日数を満たしていない人が見込みで申し込むときは、同じ期間に複数の事業所に所属していれば、従事日数内訳証明書も見込みで作ることになります。よくある質問では、過去の勤務実績や労働条件をもとに今後の出勤日を推測して、実務経験を満たす日までを記載するよう案内されていました。シフトが大きく変わる予定がある人は、見込みの日数に余裕を持たせておくと安心でしょう。
パート・転職・掛け持ちの場合の数え方
介護の仕事は、パートや非常勤、職場の移動や掛け持ちなど、働き方がさまざまです。試験センターのよくある質問には、こうしたケースについての回答がまとめられています。自分の働き方に当てはまるものを確認してみてください。
非常勤でも対象、転職しても合算できる
雇用形態が非常勤でも対象になるかという質問に、試験センターは、対象となる職種で雇用されていれば、パートやアルバイトでも対象だと答えていました。介護のみらいラボの記事では、3年間で週4日以上働けば合計620日以上になり、欠勤や有給を考慮しても条件を満たせるとしています。週3日と週4日を交互に働いた場合でも、合計で540日以上になると試算していました。
転職した人の扱いも安心してよさそうです。A事業所からB施設へ転職し、さらにC施設へ異動した場合、いずれも対象の施設と職種で雇用されていれば、従業期間と従事日数はすべて合算できると回答されています。過去に介護の仕事をしていて今は離れている場合でも、その実務経験は有効です。10年間働いていた人も、10年分すべての証明は不要で、必要な期間と日数の分が証明されていればよいとのことでした。
職場によっては、介護の担当者を独自の呼び名で呼んでいることがあります。試験センターの作成支援ツールの利用上の注意では、人員配置基準や運営要綱に定める名称以外の名前の職員は、介護等の業務が本来の業務としてはっきり位置づけられている人に限って対象になるとされていました。この場合、証明書の職種欄では「その他」を選び、実際の職名を書き込む形になります。
小さな事業所で長く働いてきた人は、事業所が指定を受ける前の期間を数えられるかも気になるところでしょう。同じ注意書きには、介護保険法の指定居宅サービスなどや、障害者総合支援法の施設・事業を行う事業所が、指定を受ける前から同じような事業を続けていた場合、その事業を始めた時点から実務経験になると書かれていました。ただし、非営利法人は法人格を取る前の期間も対象になる一方、営利法人は法人格を取った後の期間だけが対象です。また、介護保険法の事業のうち指定通所リハビリテーションはこの扱いから除かれています。転職を重ねてきた人は、それぞれの職場がいつから対象の事業を行っていたかも確かめておきましょう。
同じ日に2か所で働いても1日、技能実習は雇用開始日から
訪問介護員などで複数の事業所に所属している人は、数え方に注意が必要です。試験センターは、同じ日に複数の事業所で介護等の業務を行った場合、従業期間と従事日数は1日として扱うとしています。午前にA事業所、午後にB事業所で働いた日も、2日分にはなりません。同じ期間に複数の事業所に所属していた人は、それぞれの事業所の「従事日数内訳証明書」が必要になります。
外国籍の人についての案内もあります。試験センターのよくある質問では、特定技能1号や技能実習で働いている人の受験資格は、実務経験3年以上と実務者研修のルートになると説明していました。技能実習の場合、従業期間の算定開始日は雇用開始日で、入国後に行われる雇用開始前の講習の期間は含まないとされています。受験資格に国籍、性別、年齢、学歴などの制約はないとも明記されていました。外国の国籍を持つ人や日本に帰化した人は、申し込みのときに申請すれば、すべての漢字にふりがなを付けた問題用紙で受験でき、試験時間も通常の1.5倍になります。申し込みに在留資格の制限はなく、過去に日本で受験資格を満たして帰国した人が、短期滞在ビザで来日して受験することもできると案内されていました。
書類の書き方にも外国籍の人向けの決まりがあります。受験申込書や実務経験証明書の氏名は、在留カードや住民票に書かれているとおりのアルファベットなどで書き、フリガナはカタカナで付けることになっていました。証明書を作る事務の担当者にも、この点を伝えておくと書き直しを防げます。
EPA(経済連携協定)にもとづく介護福祉士候補者は、別の枠組みです。よくある質問によると、EPAによる受け入れは平成20年度に始まり、現在はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国からの入国者に限られています。これらの国の国籍があっても、EPAの要件を満たして入国していなければ候補者としては受験できません。また、特定技能1号で働く人が通算在留期間の延長の措置を受けるには、在留期間(通算5年)が終わる直前の試験で全パートを受けて1パート以上に合格し、総得点で合格基準点の8割以上をとる必要があるため、申し込みのときに全パート受験を選ぶよう注意されていました。
実務経験として認められる職場と職種
日数が足りていても、働いていた職場や職種が対象外なら実務経験にはなりません。試験センターの「実務経験の範囲」のページでは、令和6年7月3日の厚生労働省社会・援護局長通知などにもとづき、対象の施設・事業と職種が分野ごとに示されています。
対象になるのは「主たる業務が介護等の業務」の職種
高齢者分野では、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、通所介護、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの施設・事業が並んでいます。そこで介護職員、介護従事者、介助員など、主たる業務が介護等の業務である人が対象です。訪問介護の訪問介護員も対象ですが、サービス提供責任者としての業務は対象にならないと注記されていました。
反対に、受験資格にならない職種もはっきり書かれています。生活相談員や支援相談員などの相談援助を行う職種、医師・看護師・准看護師、理学療法士などの機能訓練担当職員、事務員、介護支援専門員、調理員、栄養士などです。介護の仕事と別の仕事を兼務している場合は、そのことが辞令などで明確で、主たる業務が介護等の業務であるときに限って対象になります。職場独自の「ケアワーカー」などの呼び名は、正式な職種名の「介護職員」として扱うよう、事業者向けの案内で示されていました。施設長や事業所の長が介護等の業務を兼ねている場合は、介護の業務に従事した日数に限って対象になるとされています。
高齢者分野以外にも、対象の職場は広がっています。実務経験の範囲のページには、障害者支援施設やグループホームなどの障害者総合支援法関係の施設・事業、障害児入所施設や放課後等デイサービスなどの児童福祉法関係の施設・事業、病院や診療所、ハンセン病療養所、原子爆弾被爆者養護ホームなどが並んでいました。個人の家庭で介護等の業務をする場合に限って、家政婦紹介所も対象になります。
病院や診療所、訪問看護の「看護補助者」は、主たる業務が介護等の業務であれば対象です。ただし、空いたベッドのベッドメーキングや検体の運搬など、間接的な業務だけをしている人は対象にならないと注記されていました。児童発達支援や放課後等デイサービスの「指導員」については、介護職員が置かれている場合は実務経験にならず、業務分掌表に介護等の業務がはっきり書かれている場合でも、認められる期間に期限があるとされています。こうした職種で介護福祉士試験を受けた場合、その実務経験は社会福祉士や精神保健福祉士の試験の実務経験には使えないという注意もありました。
介護福祉士の資格と試験の基本データ
厚生労働省の概要ページによると、介護福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」にもとづく名称独占の国家資格です。資格の取り方は、3年以上の実務経験と実務者研修を経て国家試験に合格する方法、養成施設を経て合格する方法、福祉系高校を経て合格する方法の3つが示されていました。国家試験は年1回の筆記試験で、例年1月下旬に行われます。
同じページには、受験手数料が20,510円、登録手数料が3,320円と載っています。令和7年度に行われた第38回試験は、受験者78,469人に対して合格者54,987人で、合格率は70.1%でした。登録者数は令和8年3月末時点で2,075,495人とのことです。実務経験の要件を満たしたうえで、受験の準備にどれくらいの時間をかけるかを考える参考になる数字といえます。
今年度の第39回試験の日程は、厚生労働省が令和8年7月21日に公告していました。試験日は令和9年1月31日(日)で、合格発表は令和9年3月23日(火)の午後に試験センターのホームページで行われます。受験申し込みは、インターネットが令和8年7月22日から9月2日の23時59分まで、郵送は9月2日の消印まで有効とされ、すでに受付は終わっています。試験地は北海道から沖縄県まで35の都道府県です。
試験科目はA・B・Cの3つのパートに分かれていて、第38回でパート合格した人は、全パートを受けるか、不合格のパートだけを受けるかを選べます。よくある質問によると、合格したパートの受験免除は翌年と翌々年まで有効です。受験票は12月中旬に、結果通知は3月下旬に、どちらも普通郵便で送られると案内されていました。
なお、試験センターの受験資格ページによれば、実務経験3年以上に加えて、実務者研修の代わりに介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(3号研修を除く)を修了している場合も受験資格になります。経過措置の喀痰吸引等研修修了証明書や、第3号研修・基本研修のみの修了は対象外とされていました。過去に介護技術講習を修了していても、実務経験3年だけでは受験できず、実務者研修の修了が必要だと説明されています。昔の研修を受けたことがある人は、どの組み合わせに当てはまるのかを確かめてから申し込むと確実です。
実務経験証明書の準備で気をつけること
実務経験ルートで受験するには、勤務先に「実務経験証明書」を作ってもらう必要があります。この書類は受験資格を証明する大切なものなので、作り方にも決まりがあります。準備で慌てないために、確認しておきたい点をまとめました。
証明書は勤務先が作るもので、自分で作ると無効
試験センターの様式ページには、証明書の内容を就労先の事業者などに無断で作成したり改変したりした場合、無効になり、刑法上の罪に問われることがあると注意書きがあります。事業者向けの作成支援ツールも、受験申込者は利用できないとされていました。記載に誤りがあったときも、受験者本人ではなく法人・事業所の判断で二重線を引いて訂正するよう案内されています(訂正印は不要)。
作成支援ツールの利用上の注意によると、不実の内容や錯誤した内容の証明があった場合、社会福祉士及び介護福祉士法8条により試験を無効とする処分が行われ、期間を定めて受験させない処分を受けることもあります。法人の代表者本人が受験する場合は、受験者以外の第三者が証明書を作り、法人の履歴事項全部証明書も提出する決まりです。証明書だけを送っても受験申し込みにはならない点も、様式ページで注意されていました。
頼むときに使える書類も用意されています。試験センターの様式ページには、実務経験証明書と従事日数内訳証明書の様式や作成例のほかに、「実務経験証明書」作成依頼書の様式が載っていました。勤務先に口頭で頼むより、この依頼書を添えて渡すほうが、必要な内容が伝わりやすいでしょう。無断で作った場合の注意書きのそばには、内閣府の「就労証明書の押印省略・電子化に係る犯罪の成立について」という資料へのリンクも置かれていて、押印がない書類でも偽って作れば罪になりうることが示されています。
作成支援ツールの注意書きには、事業者側の細かい決まりも並んでいました。施設長や事業所の長が介護等の業務を兼ねている場合は、職種の欄で「介護等の業務を兼務する当該施設又は事業所の長」を選ぶことになっています。不実の証明があったときは、受験した本人に処分がおよぶだけでなく、証明した側もそのてん末を報告しなければならないとされていました。ツールに入力した情報は証明書を作るためだけに使われ、利用が終わると消去されて、試験センターでは保有しないとも説明されています。
見込みで申し込んだら確定の証明書を出し直す
申し込みの時点で日数が足りなくても、試験実施年度の3月31日までに従業期間と従事日数を満たす見込みなら、「実務経験見込み」として受験できます。ただしその後に実務経験を満たしたら、実務経験証明書をもう一度作ってもらい、マイページから追加書類としてアップロードする必要があるとされていました。受験票に「見込」と印刷された人は、4月上旬の提出期限までに確定した証明書を出さなければなりません。
介護のみらいラボの記事によると、証明書の発行には1週間程度かかる場合があり、なかには1か月以上かかるケースもあるそうです。退職した事業所に頼むときは、記入例や切手を貼った返信用封筒を同封し、返送希望日を伝えるとよいと勧めていました。事業所が廃業していた場合は、雇用契約書や給与明細などの書類と自己申告書を自分で用意する方法があります。旧姓で証明された場合は、戸籍の個人事項証明書(戸籍抄本)を添えるよう試験センターが案内していました。
再受験する人には負担が軽くなる決まりもあります。よくある質問によると、過去に実務経験を満たした証明書を出して受験し不合格だった場合、次の申し込みで実務経験証明書を出し直す必要はありません。実務者研修の修了証明書も、過去の申し込みで提出済みなら再提出は不要とされていました。実務経験3年以上で実務者研修を修了していれば、受験できる回数に制限はないとも回答されています。
見込みで申し込んだ人にとって大事なのが、確定した証明書を出さなかった場合の扱いです。よくある質問によると、受験票に「見込」の記載があった人の結果通知は、確定した証明書を確認してから送られます。確定した証明書が出されず受験資格が確認できないときは、試験が無効になり、結果通知も送られないと書かれていました。出し直す証明書の作成日は、改めて作った日になるとされています。実務者研修を見込みで申し込んだ人も、修了したら修了証明書をマイページから追加書類としてアップロードする必要があります。
まとめ:実務経験3年で迷わないための5つの注意点
- 従業期間1,095日以上と従事日数540日以上の両方が必要で、休職期間は従業期間にだけ入る
- 1日の勤務時間は問わず、夜勤の数え方は事業所の規程にもとづく
- 非常勤も対象で、転職した職場の日数は合算できるが、同じ日の掛け持ちは1日として扱う
- 相談員や看護師、事務員などは対象外で、兼務は辞令で主たる業務が介護であることが必要
- 証明書は勤務先が作るもので、見込みで申し込んだら確定の証明書を出し直す