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入浴の準備はできた。でも、本人は入りたくない。
そこで介護職を目指す人が考えること、声のかけ方だけになっていないかな。
ちょっと待って。その人にとって、何が入りにくいんだろう。
この問いから勉強してみたい人へ、筧裕介さんの『認知症世界の歩き方』を紹介します。介護の手順を丸暗記する本として選ぶより、本人の立場から生活を想像する入口にしたい一冊です。
13の物語を、相手の行動を決めつけないために読む
出版社が公開している「はじめに」によると、制作では約100名の当事者への聞き取りを重ね、経験する出来事を旅行記とスケッチの形にしています。収めた物語は13本。
ここ、順番が大事なんだよね。
支援する側から見える行動だけでなく、本人にどんな困りごとがあるのかへ話を進める本なんです。
公開部分の入浴の例でも、背景は一つに決められないと説明されています。同じ「入りたくない」でも、その人の感じ方や生活の状況まで同じとは限らない。
だから、読んだ直後に目の前の人へ物語を当てはめて、理由が分かったつもりになるのは避けたいところ。想像するための本と、その人に確かめたことは分けよう。
紹介しているのはライツ社の『認知症世界の歩き方』です。「実践編」やそのコンパクト版とは別の本。購入時は書名とISBNという本の識別番号、9784909044327を確認してね。
読書メモは「理由が分かった」で終わらせない
勉強用なら、メモの欄を三つ作ってみませんか。
- 本に書かれていた困りごと。
- 自分が想像したこと。
- 本人や指導者に、まだ確かめていないこと。
あ、三つ目には「まだ分からない」と書いてもいいんです。
知った言葉が増えるほど、説明できた気になりそうな場面で、まだ分からない部分へ戻れるからです。
実習なら、個人情報を持ち出さず、観察や声かけについて指導者と振り返る材料に。資格試験の制度や介護技術の学習は、それぞれの教材で進めてください。
一冊で介護が全部できるようになるわけではありません。でも、行動の名前を覚えたあとに「この人は何に困っている?」と立ち止まる練習はできる。
次の勉強時間、まずは公開されている「はじめに」から。その問いを一つ持って読んでみてね。